子どもとの外出は楽しい半面、心配なことや不安なこともたくさんありますよね。
ショッピングモールやスーパーなどで、子どもの姿を見失ってドキッとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、ショッピングモールやスーパーなどでの迷子のアナウンスがきっかけとなり、性加害のターゲットになる危険性があります。
子どもの安全を守るために、出かける際に気をつけること、万が一迷子になってしまった時のために子どもに伝えておきたいことなど、わが家で意識しておこなっていることについてお伝えします。
迷子のアナウンスで性加害者が動く!?
子連れでよく出掛ける場所のひとつとして、ショッピングモールやスーパーがあります。
「もし迷子になったとしても建物内だし、迷子のアナウンスもしてもらえるし、外よりも安心してお出かけできる」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、ショッピングモールなどでの迷子のアナウンスが性加害者の行動を引き起こすとも言われています。
迷子のアナウンスが流れると、情報が公の場で知られることになります。館内にいる大勢がその情報を知ることで、迷子の子どもが見つけやすくなるという利点があります。
しかし、アナウンスをきっかけに性加害者が、その迷子の子どもをターゲットにする可能性もあるのです。
迷子のアナウンスでは、性別や年齢、服装の特徴や名前などが伝えられます。その情報を元に、性加害者は迷子になっている子どもを見つけ出し、「助けるふり」をして近づくのです。
「◯◯ちゃんかな?迷子になって不安だったね。パパとママのところへ連れて行ってあげる。」
親と離れて不安でいっぱいな子どもが、こんな風に声をかけられたらどんな行動に出るでしょうか?
名前で呼びかけられたり、迷子になっていることを知っている大人がパパとママの元へ連れて行ってくれると言っている…
ホッと安心して、一緒についていく姿が容易に想像できるのではないでしょうか。
そうして信頼を得たり、安心感を与えたあとに子どもを連れ去るなどの手口が使われることがあります。
そのような事件もあることから、最近は迷子のアナウンスを工夫していたり、詳細情報を公開せずに保護者やスタッフだけが把握できる方法をとっている施設も増えてきています。
子どもとお出かけする時に気をつけること5選
上記のような事件の話を聞くと、外出が怖く感じる方も多いと思います。
迷子にならないよう事前に対策したり、被害を受けないよう気をつけられることがあります。
外出をする際に、わが家で気をつけていることについてお伝えします。
目立つ場所に記名があるものを身に着けない
子どもが身につけているもの一つ一つに記名をしている方は多いと思います。
外出時に、靴や鞄、水筒などの誰から見ても確認できる場所に記名がある場合は気をつけなければなりません。
なぜ、子どもの名前がわかってしまうことが危険なのでしょうか。
それは、もし性加害者に名前がわかってしまうと、ターゲットにされる危険性が高まるためです。
性加害者は、ショッピングモールや公園、遊び場などの人が多い場所でターゲットを探していることがあります。
親や保護者の目から離れ、子どもが一人になったタイミングを見計らって声を掛ける時、その子どもの名前がわかると
「◯◯ちゃん、久しぶり。」
「前に〇〇ちゃんと一緒に遊んだことがあるんだけど覚えてないかな?パパのお友達だよ。」
「娘がまた〇〇ちゃんに会いたいって言ってるんだ。」「あっちにいるから、少しだけ会ってくれないかな?」
子どもは自分の名前を呼ばれると、面識がなくても親近感を持ち、警戒心が薄まります。
名前がわかるとより子どもに近づきやすくなるため、記名は外からは見えにくい場所にすることがおすすめです。
子どもの服装を覚えておく
お子さんの今日の服装は?
と聞かれて、今日のお子さんの服装を細かく思い出せますか?
服を親が選び、着替えさせている時期は、子どもがその日どんな服装をしているか覚えていることも多いかもしれません。
しかし、子どもが自分で洋服を選び、着替えられるようになると「あれ?今日は何を着ていたっけ?」とパッと服装が思い出せないことも多いのではないでしょうか。
服装を覚えていることで、いざ迷子になってしまった時に、施設側の人にも特徴を伝えやすく、短時間で子どもを見つけられる確率が上がります。
以前、お友達の3兄弟のママが、
出かける時は、三人でお揃いの格好をさせるの。
誰かが迷子になった時に、「この子と同じ服装をしている子見ませんでしたか?」って聞きやすいから。
と話していて、「なるほど!」と納得でした。
とはいえ、出かける際はバタバタと大忙しのママやパパ。
服装を覚えているつもりでも、パッとど忘れしてしまったり、明確に思い出せないことも多いのではないでしょうか?
子どもと出かける時には玄関やドアの前で、パシャっと一枚写真を取っておくといざという時に助かります。
親の連絡先を見えないところに書いておく
わが家では、外からは見えない所に子どもの名前と親の連絡先を書き、そのことを繰り返し子どもに伝えています。
1.子どもが自分の名前を言えない頃でも、そこを指差すことさえできれば相手に名前と連絡先を伝えられる。
2.連絡先が分かれば、迷子のアナウンス等をしてもらわなくても直接親へ連絡してもらえる可能性がある。
以上のことが大きな理由です。
自分の名前を言えない子が連絡先が書いてあることを伝えられるの?
そう思った方もいると思います。
もちろん小さな子どもが、すぐに名前や連絡先の記入場所を伝えられるようにはなりません。
・名前や連絡先は、毎回同じ場所に記入する。
(季節問わず身につけるもので、子ども自身からも見えて指を差しやすい場所。という点で、わが家では靴の甲部分にあるベロの内側に記入しています。)
・靴を履く時に、「ここにママの番号が書いてあるから、ママが見つからなくて困った時はここをお店の人に見せるんだよ。」と幼い時から繰り返し伝える。
という点を意識しています。
今のところ、わが家では名前と連絡先を伝えなければならない状況になったことはありませんが、3歳の息子はどの靴にも甲の部分に自分と名前と電話番号が書いてあることを理解している様子です。
靴に記入してある連絡先を使わずに済むことが一番ですが、いざという時に子どものお守りのひとつになるといいなと思っています。
「ちょっとだけ」でも子どもから目を離さない
子どもから目を離さないなんて当たり前でしょ。
そう感じる方も多いと思います。
しかし、
・買い物中、子どもが向こうへ行っちゃったけど、すぐ近くの棚から醤油だけ取りたい…
・パパの目の前を子どもが歩いているのだから、子どもはパパが見てくれているだろう。(ママもパパもお互い相手が見てくれていると思い込んでいる。)
・子どもがショッピングモールのキッズスペースで夢中になって遊んでいる隙に、遊び場の向かいにあるゴミ箱にゴミを捨ててこよう。
・子どもがトイレに行きたがっているが、お会計の列に並んでいる…。視界に入る所にトイレがあったので、一人で行ってもらうことにした。
このように、子どもとの外出中に「ちょっとだけ」目を離した、離さざるを得なかった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
しかし、多くの迷子は「ちょっとだけ」目を離した隙に起こっています。
子どもと一緒に買い物へ行くと、ゆっくり見られないし、自分のタイミングでトイレに行くこともできない。済ませたかった用事も全て終わらせられない…
大変なことがたくさんありますよね。
私自身、性教育を学ぶ前は「ちょっとだけ」の気持ちで目を離してしまったことも、夫とのコミュニケーション不足で、どちらも相手が一緒にいると思い込み、子どもを見失って焦った経験もあります。
子どもからずっと目を離さないことは、とても大変なことですが、「ちょっとだけ」でも目を離さないことを意識することで、大切な子どもを守ることができます。
トイレに行く時は必ず大人がついていく
ショッピングモールで子どもが「トイレに行きたい」と言った時、ママやパパ、保護者の方は必ず一緒について行っていますか?
子どもが1人で行くことが多いですか?
子どもが自分でトイレに行けるようになり、「ここに戻ってきてね」などの約束を守れるようになると、手が離せない時や、すぐ近くにトイレがある際に、子ども1人でトイレに行くこともあるかもしれません。
特に男の子の場合、ある程度大きくなると、ママはトイレの中まで一緒に行けなくなり、混んでないことも多いので1人で行く機会が多くなるかもしれません。
しかし、男の子だからこそ危険が大きい可能性もあるのです。
・幼い子どもの性被害者の男女比にはほぼ差がなく、「男の子だから大丈夫」ということはない。
・性加害者は圧倒的に男性が多く、男子トイレへ1人で来る男の子をターゲットにしやすい。
実際にどんな被害を受ける危険性があるのでしょうか?過去のいくつかの事例をお伝えします。
・立便器で用を足している最中に、横からスマホで撮影されたり、おしりを触られた。
・個室に連れ込まれ、体を触られたり、加害者の陰部を触らせた。
・トイレへ1人で来た女児を多目的トイレへ連れ込み、殺害し遺棄した。
事件やニュースにはなっていなくても、身近なショッピングモールやスーパーのトイレでの性加害は多く起こっています。
大人が一緒についていくことで防ぐことのできる被害がたくさんあります。
わが家では、息子が小学校低学年になってもトイレに行く際は必ず付き添っています。
母親は中まで付き添うことはできませんが、入口のそばで待っていること。トイレ前で「ここで待ってるねー」などと声掛けをし、周りの人に母親がそばにいることを知らせることなど、子どもを守るためにできることがあります。
また子どもに、周りを見回してから用を足すこと(警戒心の強い子はターゲットになりにくい傾向があるため)、スマホで撮影されたり、触られたりした際は、大きな声で周囲の人や入口で待っている母親に伝えること等を繰り返し伝えています。
もしも迷子になった時はどうするの?
大人がどんなに気をつけていても、子どもとはぐれたり、迷子になってしまう可能性は十分あります。
もしも迷子になってしまった時に備えて、子どもに伝えておきたいことについてお伝えします。
迷子になった時は、女性の店員さんに声をかけよう!
わが家では、「もしも迷子になってしまったら、女性の店員さんに迷子になったことを話してね。」と伝えています。
なぜ近くにいる大人ではなく、店員さんなのか?
なぜ女性なのか?
それは、子どもの安全を守る確率を上げるためです。
前述した通り、性加害者は圧倒的に男性が多いです。
性加害者の男女比に関するデータによると、性犯罪全体の99%は男性によるものとされています。
そのことから、男性ではなく女性に声をかけることで、子どもの被害を防げる可能性が高まります。
また、大人の女性なら誰でもいいわけではなく、女性の店員さんに声をかけるように伝えておくことにも良い点があります。
・店員は子どもが安心して助けを求めやすい存在。制服を着ていたり、名札を付けていたりと子どもにとっても見つけやすく、信頼感を持ちやすい。
・店員は状況を把握し、適切な対応をとることができるため、短時間で親と再会できる確率が上がる。
・子どもに「誰かに助けを求める」と伝えておくよりも、「お店の女の人に助けを求める」という方が、やることが明確で冷静に行動しやすい。
などの点から、迷子になった際には「女性の店員さん」に声をかけるよう繰り返し伝えています。
生活の中で頻繁に行くお店や、あまり広くないお店では、はぐれた時の待ち合わせ場所を決めておき、待ち合わせ場所でも会えなければ店員さんに声をかけるよう伝えることもあります。
迷子になった時の話を子どもとする際に気をつけること
子どもがもし迷子になったら…と考えて不安を感じたことのあるママやパパは多いと思います。また、迷子と性加害者との関連性や、実際に起きている性被害のことを知ると、ますます不安は大きくなるのではないでしょうか。
大切なわが子が被害を受けるようなことは絶対にあってほしくないという思いのあまり、ついつい注意や怖い話が多くなってしまいがちです。
しかし、子どもに自分のことを守る方法を伝えていく際には、気をつけなければならないポイントがあります。
脅さない
子どもに性教育や防犯の話をする際は、ついつい怖い話や注意が多くなってしまいがちです。
子どもを守るために防犯の話はとても重要ですが、性犯罪から身を守る方法などのマイナスな性教育ばかりになってしまうと、子どもが性教育を嫌がって聞きたくなくなってしまったり、外出することを怖がるようになってしまうこともあります。
気をつけてほしいことや、知っておいてほしいことはたくさんありますが、一気にたくさんのことを伝えるのではなく、丁寧に少しずつ長い目で伝え続けることが大切です。
また、伝え方にも配慮が必要です。
〇〇な怖いことがあるんだよ。
1人でいる時に連れて行かれちゃうんだよ。
などと、怖い話ばかりするのではなく、
トイレに行く時は、必ず大人と一緒に行こうね。
1人でトイレに行かないといけない時は、人目につくトイレに行くようにしたり、親子連れが入るタイミングで一緒に入るといいよ。
迷子になった時は、あの洋服(制服)を着ているお姉さんに言うんだよ。
ママがすぐにお迎えに行くからね。
などと、気をつける点や被害を予防できる確率が上がる方法などを、知識として身につけられるよう意識して伝えるといいと思います。
子どもが小さい頃から繰り返し伝える
迷子になった時のことや防犯については、1人でトイレに行けるようになったり、行動範囲が大きくなった頃から話し始めることも多いかと思います。しかし、抱っこ紐やベビーカーを使用している乳幼児期からでも伝えられることはあります。
・お店の人の目印(制服・名札)を教える
・子どもが親のそばを離れずに過ごせた時には褒める
・一緒にトイレへ行く度に、トイレは大人と一緒に行くことを伝える
子どもは一度言っただけでは覚えられません。『教える』のではなく、日常の『家族とのおしゃべり』の中で繰り返し伝えていくことで、子どもも自然に知識として身につけていくことができます。
防犯について教える前に子どもに伝えてほしいこと
性犯罪や防犯について教えることはとても大切なことですが、その前に子どもに伝えて欲しい、大切なことがあります。
それは、
「あなたはとてもとても大切な存在だよ」
ということです。性教育は「生の教育」であり、子どもに「大切な存在だよ」と伝えることが、生きていく力の土台となります。人は誰かに大切に想われることで、自分自身のことを大切にできるようになるのです。
そのうえで、
・自分の体や心は自分だけの大切なもの
・特に、「口・胸・おしり・性器」は「見せない、見ない、触らせない、触らない」大事なプライベートパーツ
ということを繰り返し伝えます。
悲しいことに、幼い子供をターゲットにした性犯罪はたくさん起こっています。
様々な事件があり、ひとつひとつ子どもに説明して「〇〇なことがあるから気をつけるんだよ。」と話すことは難しいです。
しかし、「自分の体や心は自分だけのもの」であり「プライベートパーツ」は特に大事であることを知っていることで、親と離れて行動するようになった時にも、防犯への意識が高くなります。
まとめ
悲しいことに、子どもを対象とした性犯罪や連れ去りは実際に起こっています。
子どもが大人になるまで、常に親がそばにいて守ってあげることはできません。子どもはいずれ親から離れ、ひとりで登下校をしたり、遊びに出かけたりするようになります。
幼い頃から性教育を行うことで、自分の身を守る方法と知識を身につけることができます。性教育は子どもの「知識のお守り」になるのです。
ずっとそばについて守ってあげることはできないけれど、たくさんの「知識のお守り」を持たせてあげることはできます。
また、普段から親と性の話をしていることで、万が一性被害を受けたり、怖い思いをしてしまった時にも親に話しやすくなります。
知識は一朝一夕に身につけられるものではありません。
親も日々学び、子どもに少しずつ繰り返し伝えていくことが大切です。